ご挨拶
当院は、平成初期から認知症患者様の受け入れ体制を整えてまいりました。現在は、認知症専門病棟(重度認知症疾患治療病棟)が120床と地域では最も多くの病床数を確保しております。
対象患者様は、行動心理症状により在宅や施設で生活することが難しい患者様が多くを占めますが、入院中に認知症が進行することで寝たきりとなり、受け入れ施設の空きがないために入院が長期化していることも大きな課題となっています。また、国の方針として、精神科病院の入院期間の短縮、地域移行、在宅支援を推奨されていますが、精神的に安定した後も、ご本人やご家族様の経済面や家族背景、患者様ご本人の介護度、受け入れ先の施設や医療機関の対応などが複雑に影響し、退院が円滑にいかない状況も多々あります。
豊前市においては、統計学的に2040年前半に高齢者が生産年齢人口を上回るとされ、全国と比べても急速に高齢化が進み、医療・介護・行政(包括)などを含めて対応できる人が極めて少なくなるなど介護者不足、介護者の高齢化、老々介護の問題が深刻化しており、今後益々増加するであろう認知症への対策が急務となっています。
当院は、これまで以上に地域に何を求められているのかを常日頃より考え、地域の方々と共に歩んでいきたいと考えています。より多くの患者様のためにできることを実践し、関わった方々が、少しでも光が見え、希望や期待が持てるように邁進していく所存でございます。
2024年4月1日
大川病院 理事長 大川順司